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  • 執筆者の写真黒子 花

スタートラインに立つ者としての最低限

更新日:4月29日




 これだけ円安が続いているんだから普通の経営者なら、すべての工費や製作費を考えて、日本で作る判断をする。

 ところが、材料費に関しては日本で採掘できないものがあるからどうやってもかかる。それならわかる。


 でも、文化に関すること、例えばアニメ制作に関しては、制作費を上げないアホの責任だ。これだけサプライチェーンだ、フェアトレードだと叫ばれている時代において、危ない企業に仕事を割り振ること自体がリスクマネジメントができていない。


 テレビ局も新聞社も今や不動産業で儲ける時代だ。

 コンテンツ自体が売れなくなっている。サブスクリプションが広がって市場規模が大きくなったしこれまで以上にフェアトレードについて考えなくてはならない事態になっているのにもかかわらず、なぜ搾取が搾取を生む構造を未だに続けているのか。


 自分たちの価格を理解できていないからだ。


 再三にわたり自分はブチ切てきたし、クソみたいに恥ずかしいことをやっていると説明しても、下には下がいるとどうにか正常性バイアスを最大限広げてどうにか留飲を下げようとしている。



 企業の判断基準も管理体制も、発展途上国やコンドームを洗って使って洗濯物として干すような国、以下であることを示唆している。

 にもかかわらず、自分たちが搾取に加担しているなどと思ってもいない。がんばっているなどと言い訳をしている。社員を徹夜させている時点で、運営がおかしいし、世界情勢を鑑みた経営判断を下せないなら、経営者としては終わっている。


 もちろん、こんなことは過去にも起こっているし、数多くの人たちが批判してきた。

 今、変われない者たちは墓場まで変われない。自分も批判をしまくっていた。なんだったら、ちゃんとどういうことが起こるのかも説明してきた。


 コロナやジャニーズ騒動によって、多くの映画会社も含めて、変革の岐路に立たされていた。

 今になって、選んだ道が失敗だったのかどうか答え合わせが始まっている。


 基本に忠実にやっていれば捕まらないなどという時代ではない。

 それはどれだけ思想が違う者でも、仕事として成立するための「基礎」でなくてはならない。

 残念ながら、現代は技術的な基礎ではなく、民主主義や自由主義という基礎を理解しているかどうかという時代になっている。技術ではない部分だからわからないという者がいるかもしれないが、日本のシステムはずっとこれを続けているので、わからない者の方が恥ずかしい。


 そういう話はものすごいたくさん出ているが、何かの賞で選ばれないのは、はっきりと時代性も倫理観もAI時代に追いついていないからだ。

 少なくとも倫理観だけは人間としての部分なので、AIに置き換えられない。昨今、ブラックな業界と言われ続けてきたアニメ業界の人たちが、何かの審査に参加することがあるようだが、賞を作っている企業が時代に乗り遅れていることを証明してしまっている。


 かつて講談社「群像」にて、倫理観が問題となり、鬼と呼ばれた編集長は石原慎太郎の小説を一切掲載しなかった。

 ここに日本の倫理観がある。


 昨今、本屋が潰れるというニュースが相次いでいる。

 本は作家と編集者さえいれば出来るというものではない。

 校正者や組版、印刷所、製本所、製函所、紙屋、デザイナー、取次の方々、書店員、多くの方々が大事にしてくれて出版できるものだ。

 だからこそ、出発点であり発信者、スタートラインに立つ者として、搾取や迫害に目をつぶらず、関係者たちが胸を張って大事に出来るものを送り出す。


 これが作家として最低限の矜持ではないだろうか。


 残念ながら今の出版業界にそれを感じられる企業はない。中国資本に支えられているメディアに媚びるだけでは、日本の文化は潰えてしまう。


 文科省が北朝鮮のアニメーターの一件をどれほど理解ができているかわからないが、少なくとも外務省及び防衛省は抗議すべき問題と、一視聴者の立場でも思う。

 

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